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事業承継・M&Aコラム

2020.7.19 医療・介護

介護事業|事業承継・M&Aを成功に導くポイント

 

■事業承継・M&A動向


介護業界は急速な高齢化の進展とともに近年、拡大の一途を辿ってきました。2000年の介護保険制度の開始以降、要介護・要支援認定者数*1は2003年の370万人から2017年の607万人にほぼ倍増しています。今後、65歳以上の高齢者人口の増加ペースは鈍化していく(1990年1,489万人*2 → 2020年3,619万人*3 → 2040年3,920万人*3)ものと見られますが、要介護認定率の高い75歳以上の後期高齢者人口は2030年頃まで増加ペースが継続するものと見られます。介護保険サービス利用者の約8割を占める居宅サービス(訪問介護・通所介護等)のレスパイト機能に対するニーズは今後も増え続けるものと見られますし、待機者を多く抱える施設サービス(特養・老健等)も同様です。
 *1 「介護保険事業状況報告」厚生労働省
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/84-1.html
 *2 「国勢調査」総務省統計局
 https://www.stat.go.jp/data/topics/info1751.html
 *3 国立社会保障・人口問題研究所
 http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Mainmenu.asp

しかし、介護事業の拡大を支えてきた「介護需要」の増加が継続する一方で、「介護供給」は都市部を中心に大変厳しい状況を迎えております。介護事業における離職率は一般的に15-25%程度と高いことから職員採用は常に頭を悩ませる問題ですが、介護人材の供給不足も更に拡大する(2025年38万人*4)ものと見込まれています。さらに「介護報酬単価」も介護サービスの質(サービス提供体制・中重度/認知症者受入・アウトカム)に基づく加算は見られますが、全体的には引き下げの方向です。
 *4 「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」厚生労働省
 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000088998.html

介護保険制度の開始(2000年)とともに参入が認められた株式会社等の営利法人も設立から10-20年が経過しています。オーナー様が引退も考える年齢に差し掛かるなか、厳しい経営環境のなかで後継者を確保することも難しく、中小介護事業者を中心に第三者への承継(M&A)は加速化していくものと見られます。

 

 

■事業承継・M&Aにおけるポイント


このように近年、加速の動きが見られる介護事業者の事業承継・M&Aですが、厳しい経営環境を反映するように譲渡条件の交渉は年々厳しくなっているところです。貴社の介護事業の持つ価値を譲渡先候補や後継者候補にしっかりと認めてもらうためにはこれまで以上に丁寧なコミュニケーションを図っていくことが求められています。

1.地域介護マーケットに関する再確認
2.介護報酬改定の将来方向性に沿った戦略/シナジー検討

介護事業を展開されている地域の事業環境は日々、実感しながら事業を運営されていることと思いますが、多忙ななかでも、正確な資料や数字をもって地域介護マーケットの状況を整理されている中小介護事業者は必ずしも多くはありません。

介護保険サービスに係る情報公開は大変充実しており、地域の介護保険マーケット情報もインターネットを通じて簡単に確認ができます。各市町村の介護保険事業計画では事業環境(要支援・要介護者数・介護保険サービス別受給状況/将来整備計画)、厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは競合事業者の運営状況(平均要介護度・稼働率・月額利用料・職員数等)を一度確認されておくことをお薦めいたします。
  *5 「介護サービス情報公表システム」厚生労働省
  https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/

近年の介護報酬改定の背景には「在宅サービスへのシフトと効率化」を促す中長期的な介護政策方針が見受けられます。このような政策方針のなかで、どのように収益化(加算獲得と運営効率化)を進めていくかを考えるうえでも、上記の地域介護マーケット情報は役立つことと思います。

例えば、包括定額報酬サービスの導入は在宅系の介護保険サービスの運営効率化を促す1つの動きであり、特定地域に集中特化とした効率的な事業運営(密度の経済)を志向する戦略も考えられます。また、限られた介護職員が創出する付加価値を最大化する試みとしては、要介護度や付加サービスの向上を目指して、譲渡先との運営ノウハウ相互活用を図っていくことも考えられます。

どのような方向性においても、譲渡先候補に対して地域の介護保険マーケットにおける貴社の立ち位置やビジネスモデルを積極的に示していくことは、適正価格での引継ぎに向けた事業理解の鍵になると言えるでしょう。

 

 
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