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事業承継パートナーズコラム

2020.8.21 事業承継・M&Aの知識

中小企業のための「役員退職慰労金」|支給手続き・計算方法、事業承継での活用方法は?

役員退職慰労金

中小企業の経営者であれば「役員退職慰労金」は大変気になるテーマではないでしょうか。通常の役員報酬と比べて大きな金額となることが多いですし、税務上の優遇措置もあります。税務調査で否認されるリスクも心配になるところです。ぜひ基本的な手続きや計算方法を押さえておきましょう。

 

(1)役員退職慰労金とは


役員退職慰労金とは、取締役等が会社を退職する際に一時金として支給する給与です。長年にわたり会社に貢献してきた役員に対して、その功績に報いるために報酬を後払いするものとも言えます。

退職所得に該当することで「税務上の優遇措置」があることも見逃せません。所得税は実際の退職金額より少ない「退職所得金額」をもとに計算されます。「分離課税」のために他の所得と通算されないことから、税率自体が低く抑えられることが多いこともメリットです。

この「退職所得金額」は実際の退職金額から退職所得控除額を差し引いた後、さらに「2分の1」にした金額になります。通常は税金が「2分の1」以下になる大変お得な制度です。ただし、勤続5年未満の「特定役員等」は「2分の1」とならない点には注意が必要となります。

 ◎退職所得金額 = ( 退職金額 - 退職所得控除額※ ) ×  1 / 2

 ※退職所得控除額 = 勤続年数 × 40万円
          = 800万円 + 70万円 × ( 勤続年数 - 20年 )
          ※勤続20年以内は上段、勤続20年超は下段の計算式になります。
          ※80万円に満たない場合には80万円となります。

 

 

(2)役員退職慰労金の支給手続き


役員退職慰労金を支給する際には通常、株主総会の決議(会社法361条)が必要となります。株主総会の決議がなければ役員退職慰労金の支給が無効となってしまいます。後々のトラブルを防ぐためにも必ず株主総会を開催し、議事録を残しておきましょう。

ただし、株主総会で必ずしも具体的な金額までを決議する必要はありません。役員退職慰労金支給規定などの内規や慣行、若しくは株主総会で決議された支給上限額に従って、個別の支給金額・時期・方法などは取締役会の決議に一任することもできます。もしご不安があれば顧問弁護士や司法書士の先生にご相談することも一案です。

 

 

(3)役員退職慰労金の計算方法と注意点


「役員退職慰労金をいくらまで出せるのか」は一番の関心事であるかもしれません。「不相当に高額」として税務調査で否認されれば損金参入できないこととなります。

「功績倍率法」が使われることが多いですが、実は注意も必要です。功績倍率は社長であれば3.0とも言われますが、法⼈税法34条2項及び法⼈税法施⾏令70条2項の趣旨に則り、本来的には同業類似法⼈の平均功績倍率を使う必要があります。

 ◎役員退職慰労金 = 役員最終報酬⽉額 × 役員勤続年数 × 功績倍率

また、退職前に報酬⽉額の大きな変動があった場合には「1年当たり平均額法」の採用も考えられます。役員報酬をゼロとした後に功績倍率法を用いると、役員退職慰労金もゼロとなってしまうからです。変更前の役員報酬を安易に用いれば否認リスクも残ります。

 ◎役員退職慰労金 = 類似法⼈の役員退職給与の1年当たり平均額 × 役員勤続年数

どちらの方法でも同業類似法人との比較から適正金額を確認することとなります。「BAST」(TKC経営指標)や「役員の退職慰労金」(株式会社政経研究所)が参考になりますが、顧問税理士の先生にご相談することをお薦めします。

 

 

(4)事業承継での役員退職慰労金の活用


役員退職慰労金は適正な金額であれば税務上の優遇措置を享受できるため、事業承継の場面でも多く活用されています。会社を譲り渡す際に、株式譲渡代金の一部を役員退職慰労金として受け取ることで税負担が抑えられることがあるのです。

株式譲渡では、譲渡所得の20%(所得税15%・住民税5%)に復興特別所得税(2.1%)が上乗せされます。役員退職慰労金では、先程の退職所得金額に所得税に復興特別所得税(2.1%)が上乗せされます。この配分で税負担が変わってくるのです。

ただし、役員退職慰労金の支給後にも非常勤役員として残る場合には注意が必要です。このような「分掌変更時の役員退職慰労金」は①常勤役員が非常勤役員になった、②取締役が監査役になった、③給与がおおむね50%以上減少した等の「実質的に退職したと同様の事情にある場合」にのみ退職金として取り扱うことができます。代表権が残っている、退職金が未払金として計上されている、などの場合には原則として認められません。

事業承継後に安心して過ごすことができるように、ぜひ専門のアドバイザーにご相談されることをお薦めします。

 

 

(5)さいごに


さて、「中小企業のための『役員退職慰労金』」と題してお話させて頂きましたが、ご感想はいかがでしょうか?身近なテーマですが奥が深いところもあります。具体的な検討はかならず専門家とご相談しながら進めて頂ければと思います。ご質問などございましたら、ぜひお気軽にご連絡をいただければと思います。

 

 
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