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事業承継・M&Aコラム

2020.8.8 保育・教育

保育園(保育所)|事業承継・M&Aを成功に導くポイント


 

■事業承継・M&A動向


女性の社会進出や共働き家庭の増加などの男女共同参画社会が浸透し、待機児童の問題も注目されるなか、保育園は「子どもたちの健全な心身の発達を図る児童福祉施設」として大変重要な役割を担っております。社会的な要請を背景として、保育園等の施設整備も近年積極的に進められてきております。

実際、保育サービス業界は急成長しています。保育園・託児所の市場規模は1.9兆円から3.4兆円へと直近10年間(2008年~2018年)で2倍近くに成長しました。*1  また同期間に施設数は22,898施設から27,951施設に、定員数は約212万人から約272万人に、常勤換算従事者数は約44万人から約62万人に大きく増加しています。*2

*1「2019年版 子供市場総合マーケティング年鑑」矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2209
*2 「社会福祉施設等調査の概況」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/23-22.html

「待機児童問題」解消に向けた官民を挙げての取り組みが奏功するなか、保育サービス大手も積極的な事業拡大に動いております。「withコロナ」の環境下においても認可保育所は定員や給付金を確保して比較的安定した経営を続けています。都市部の認可保育所を中心とした積極的な事業承継・M&Aの動きは今後も継続していくものと思われます。

 

 

■事業承継・M&Aにおけるポイント


このように近年、加速の動きが見られる保育園の事業承継・M&Aですが、待機児童問題の陰で実は構造的な変化が忍び寄っています。貴社の保育事業の持つ価値を譲渡先候補や後継者候補にしっかりと認めてもらうためには自社の強みや譲渡タイミングを冷静に見極めていくことが求められています。

1.保育サービスの構造変化を見通した対応
2.「定員割れ時代」を生き残る差別化モデルの模索

振り返れば、2010年代は官民を挙げて「待機児童問題」の解消に取り組んできた時代でした。男女共同参画社会の浸透に合わせて、女性就業率80%にも対応できる保育の受け皿を確保する施策が推進されてきております。また、担い手となる保育士の確保に向けて処遇改善措置も進められました。

・2013年 待機児童解消加速化プラン(約50万人の受け皿追加確保)
・2017年 子育て安心プラン(約30万人の受け皿追加確保)
・2019年 幼児教育・保育の無償化開始

しかしその一方で、少子化の足音は確実に忍び寄っています。2019年の出生数が86万人であったことは大きな注目を集めましたが、2030年の出生数は82万人にまで減少することが見込まれています。*3  今現在でも待機児童問題は首都圏の0-2歳児が中心であり、3-5歳児は100万人/学年の保育サービスが提供されているなか、「3-5歳児の定員割れ時代」は始まりつつあると言えるでしょう。

*3 「日本の将来推計人口(平成29年推計)」国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp

さらに、危機感を募らせた幼稚園による幼保連携型こども園への進出、小規模保育や企業主導型保育の拡充の動きもあります。待機児童解消にはプラスですが、「0-2歳児の定員割れ時代」さえもが着実に近づいてきているように思われます。女性の就業率上昇の流れは緩やかに継続していくものと思われますが、出生数の低下という大きな構造変化をそろそろ真剣に捉える必要がありそうです。



「定員割れ時代」には、施設型給付と地域型給付を問わず、すべての保育サービス事業者において収益確保に向けた取り組みの重要性がより一層高まることとなります。いずれも一朝一夕にできるものではなく、1つ1つの運営改善の積み重ねが大変重要になります。

・定員確保/加算獲得に向けた差別化モデル
・定員割れに備えたコスト管理(若しくは初期投資管理)

将来を見据えて自ら地道に取り組んでいくのが王道のようにも思われますが、無理をせず、時間的な猶予があるうちに事業承継を進めることも選択肢となります。その際にも可能な限り、自社の強みや方向性を見極めながら最適な譲渡先や後継者を選定していくことが望まれます。

どちらの方向性においても、貴社の立ち位置やビジネスモデルを積極的に模索していくことは、中長期的な生き残りや円滑な事業承継に向けた鍵になると言えるでしょう。

 

 
事業承継のご相談・お問い合わせ
https://njp-kakehashi.com/contact/

外部リンク|後継者になる|保育主任/園長から「プロ後継者」へ
https://kokei-works.com/2020/07/29/686/