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事業承継パートナーズコラム

2020.8.3 医療・介護

【徹底解説】調剤薬局の事業承継・M&Aと生き残り戦略

調剤薬局の事業承継・M&Aを成功に導くには、「調剤薬局を取り巻く潮流(医薬分業や地域包括ケアシステム)」への理解が欠かせません。本コラムでは調剤薬局の定義や成り立ちから、求められる役割や将来像、そして後継者問題への取り組み方まで、分かりやすく徹底解説していきます。

[目次]
【1】調剤薬局とは
【2】調剤薬局の役割と課題
【3】2025年の調剤薬局の姿
【4】調剤薬局の事業承継・M&A
 


 

目次

【1】調剤薬局とは


(1)調剤薬局の定義

まず初めに「調剤薬局」の定義から確認していきましょう。コンビニよりも多いと言われるほど地域に欠かせない存在となった調剤薬局ですが、ドラッグストアとは何が違うのでしょうか。「薬機法*1」の定める分類は下記のとおりです。

薬局:     いわゆる「調剤薬局」です。処方箋の必要な薬局医薬品も取り扱うことができます。
◎医薬品販売業
 ・店舗販売業: いわゆる「ドラッグストア」です。要指導医薬品*2や一般用医薬品を取り扱います。
 ・配置販売業: 「富山の置き薬」が有名です。経年変化の少ない一般用医薬品を取り扱います。
 ・卸売販売業: いわゆる「問屋」です。すべての医薬品を取り扱います。

薬剤師が「医師の処方箋の必要な薬局医薬品」を取り扱っていることが大きな特徴です。最近では、ドラッグストアでも調剤薬局を併設していますが、この場合には「薬局」の開設許可*3を取得することになります。また、第一類を除いた一般用医薬品は登録販売者も販売しています。

*1 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
*2 薬剤師の対面による情報提供及び薬学的見地に基づく指導が必要です。医師の処方箋は必要ありません。
*3 保険調剤には、保健所による薬局開設許可と厚生局による保険薬局指定が必要となります。保健所の検査では許可基準確認のための現地調査、保険薬局指定には社会医療保険協議会への諮問・答申があります。

(2)調剤薬局の種類

次に調剤薬局にはどのような種類があるのでしょうか。調剤薬局を訪れる際には医師の発行する処方箋をお持ちになっていると思います。この院外処方箋を受け付ける病院(保険医療機関)との地理的な関係性から「門前薬局」・「地域薬局」・「敷地内薬局」などに分けられます。

門前薬局:  特定の病院のすぐ近くにある調剤薬局です。
地域薬局:  複数の病院から広く処方箋を受け付ける調剤薬局です。
敷地内薬局: 病院敷地内にある調剤薬局です。病院からの経営の独立性の確認が必要です。

「門前薬局」や「敷地内薬局」は特定の病院からの処方箋の集中率が高くなります。特定の処方薬を中心に在庫管理をしやすい面もありますが、当該病院に経営を依存するほか、近年は調剤基本料を減額される傾向が見られています。

その一方で、近年注目されているのが「地域薬局(面分業薬局)」です。駅前などの好立地に構えていることも多く、「かかりつけ薬局」機能を発揮していくことが期待されています。政府の経済財政諮問会議で塩崎厚生労働大臣(当時)が「病院前の景色を変える」と発言したのもこの流れになります。

(3)薬局の成り立ち

それではどうして「地域薬局」、そして「かかりつけ薬局」機能が注目されているのでしょうか。そのヒントは調剤薬局の成り立ちにあります。ここでは「医薬分業」をキーワードとして調剤薬局の成り立ちを振り返ってみましょう。

◎1874年  「医制」制定
◎1889年  「薬品営業並薬品取扱規則」制定(医師の自己調剤の例外規定あり)
◎1974年  診療報酬改定(院外処方箋料と調剤基本料の引き上げ) ・・・・ 医薬分業元年

実は明治以前の日本では「医薬兼業」として医師が自ら調剤することが主流でした。「医制」や「薬品営業並薬品取扱規則」の制定により「医薬分業」の方針が示されたものの、例外規定もあり長らく分業は浸透しませんでした。

その後、本格的に「医薬分業」が進むことになったのは1974年の診療報酬改定です。院外処方箋料(医師が院外処方箋を発行するの診療報酬)と調剤基本料(薬局が処方箋に基づいて調剤する際に等しく受領できる調剤報酬)が大きく引き上げられました。

その結果、院外処方箋発行枚数が増加し、現在の処方箋受取率72.8%(2017年度)にまで達しています。一般用医薬品を販売していた薬局が医療用医薬品にも取り組み始めたほか、病院の前には調剤薬局が多く設立されました。

 

 

【2】調剤薬局の役割と課題


(1)「医薬分業」の目的

さて、医師が処方箋を交付し、薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行う「医薬分業」はなぜ必要なのでしょうか。「医薬分業」は医師と薬剤師が相互に専門性を発揮するを通じて、下記の実現を目指すものとされています。

より質の高い医療サービスの提供
高齢化社会に向けてより安全な薬の利用
医療費の適正化

調剤とは「薬剤師が薬剤を調整する」だけではありません。服薬指導や薬歴管理、そして監査や医師への疑義照会・フィードバック等も含まれます。薬学的知見に基づく服薬指導や服薬内容のダブルチェックが「より質の高い医療サービスの提供」や「高齢化社会に向けてより安全な薬の利用」の実現につながります。

こうした薬剤師によるダブルチェック機能は薬の過剰投与や重複投与の回避、そして後発医薬品の推奨など、「医療費の適正化」にもつながります。かかりつけ薬局機能やお薬手帳を通して、複数の医療機関の薬歴を包括的に管理する体制を整えていくことも重要となります。

(2)「医薬分業」に対する批判

しかし、「医薬分業」の取り組みの成果には批判的な意見があることも事実です。厳しい国家財政運営のなかで増大する社会保障費の使い途に関心が集まるなか、薬局薬剤師の調剤業務にかかる費用(調剤技術料)には1兆9,311億円もの巨額の公費が充てられています。

平成30年度調剤医療費(電算処理分に限る)*4
調剤医療費:     7兆4,279億円
うち薬剤料:     5兆4,834億円
うち調剤技術料:   1兆9,311億円
うち特定保険医療材料:   134億円

医薬品医療機器制度部会(2018年11月)では「医薬分業」の現状について「院内処方として医薬品を医療機関で受け取るよりも、院外処方として薬局で受け取る方が、患者の負担額は大きくなるが、負担の増加に見合うサービスの向上や分業の効果などが実感できないとの指摘もある」との危機感が示されました。

さらに、「経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太の方針)」においては、「薬局における調剤の実態や報酬体系を踏まえ、調剤料などの技術料について、意義の検証を行いつつ適正な評価に向けた検討を行う」とされています。

実際、2018年度の報酬改定において、大手チェーンの門前薬局の調剤技術料の引き下げと目される動きがあったのもこの流れに沿ったものと考えられます。調剤薬局には、処方箋に基づく外来調剤業務以上の役割が求められています。

また、薬機法の改正(2019年12月)では「薬局」の定義も変更されています。「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所」の下線部が追加され、「対人業務」を重視する流れが見て取れます。

*4 「調剤医療費(電算処理分)の動向~平成30年度版~」厚生労働書
https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/18/gaiyou.html

(3)「医薬分業」批判への回答

こうした批判に応えるように、厚生労働省は2015年10月に「患者のための薬局ビジョン」*5を策定しました。2025年には団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になる超高齢化社会を迎えます。そこで薬局に求められる機能について基本的な考え方(下記)が示されています。

立地から機能へ:     門前薬局など立地依存から、薬学的知見や24 時間対応・在宅対応の発揮へ
対物業務から対人業務へ: 薬剤の調製から、患者への服薬指導や医師への疑義照会・フィードバックへ
バラバラから一つへ:   かかりつけ薬剤師・薬局を選択することによる一元的な薬歴管理へ

ここでの大切なキーワードとして「地域包括ケアシステム」があります。2025 年には、人口の占める後期高齢者の割合は 18.1%に上昇し、認知症高齢者の数も 700 万人に達すると見込まれています。可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができることが望まれます。その実現を支える仕組みとして、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が推進されているのです。

薬局においても、「2025年までに、すべての薬局が『かかりつけ薬局』としての機能を持つことを目指す」こともビジョンには明記されています。

*5「患者のための薬局ビジョン」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000102179.html

 

 

【3】2025年の調剤薬局の姿


(1)かかりつけ薬局機能

それでは2025年までにすべての薬局に求められる「かかりつけ薬局」機能とは何なのでしょうか。実は調剤薬局に大きな変革を迫るものとなっています。具体的には下記の3つの機能が挙げられています。

服薬情報の一元的管理・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導
24時間相談対応・在宅対応
かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携(多職種連携)

かかりつけ薬局となるには、かかりつけ薬剤師の要件を満たして患者の同意も取り付ける必要がありますが、調剤報酬に「かかりつけ薬剤師指導料」・「かかりつけ薬剤師包括管理料」の加算が追加されたこともあり、積極的な導入の動きが見られています。また、2021年8月には「地域連携薬局」の知事認定制度の導入も予定されています。

(2)高度薬学管理機能

前述の医薬品医療機器制度部会では、「薬局の基本的な機能に加え、例えば、地域において在宅医療への対応や他の医療機関等との連携において主体的な役割を担う薬局や、高い専門性に基づき薬学的管理や特殊な調剤に対応できる薬局等に類型化が必要であり、地域の医療機関だけではなく薬局等の連携もしっかりとれる薬局を制度化すべき」であるとの認識も示されております。

例えば、抗がん剤等の薬学的管理など、「高度薬学管理機能」に活路を見いだせる薬局もあるところです。2021年8月には「専門医療機関連携薬局」としての知事認定制度の導入も予定されています。

(3)その他の選択肢

かかりつけ薬局機能や高度薬学管理機能は既に厚生労働省が示している将来像ですが、生き残りのモデルはその他にも考えられるかもしれません。「医薬分業」の本旨に沿って調剤薬局のあり方や機能を模索する動きが続いていますし、調剤技術料の効率的・効果的な活用に向けた報酬改定の流れも続くものと思われます。

省令改正などのハードルもありますが、薬剤調整業務効率化を目指すことも一案となります。現在は処方箋40枚につき1人に薬剤師の配置が必要となるところ、業務の機械化・オートメーション化の推進状況を踏まえた改正も提言されているところです。

また、「健康サポート薬局」制度では前述の「かかりつけ薬局」機能とともに、「健康サポート」機能も掲げられています。要指導医薬品やOTC(一般用医薬品)の取り扱いで個性を出しながら、地域医療機関との連携や健康相談・健康サポートを充実させることで、患者や地域住民により選ばれる薬局を目指すことも考えられるかもしれません。

 

 

【4】調剤薬局の事業承継・M&A


(1)検討開始のタイミング

さて、調剤薬局の将来像である「患者のための薬局ビジョン」や繰り返される報酬改定の裏には、一貫した思想が貫かれていることが確認できました。キーワードは「医薬分業」と「地域包括ケアシステム」です。「2025年の調剤薬局の姿」を描いて地域医療のなかで重要な役割を模索していきたいところです。

しかし、医薬分業元年と言われる1974年から既に40年以上が過ぎています。調剤薬局オーナーの皆様には後継者問題に悩まれている方も多いかと思います。先々のことよりも後継者探しが喫緊の課題となっているかもしれません。後継者不在の場合、一体いつから事業承継に取り組めば良いのでしょうか。正解のない問題ではありますが、これまでの経験からは下記のように言えそうです。

「65歳」を節目に相談に来られるオーナー様が多い。
健康面の問題を契機に相談に来られるオーナー様も多い。
調剤報酬改定等を見据えた早期対応も求められる。

もし旧来の調剤特化型のビジネスを続けていれば、今後の報酬改定はマイナス方向となります。また、処方箋の集中率の高い中小薬局では医師の事情や報酬改定などで思わぬ影響を受けるかもしれません。

(2)主な譲渡先候補

では、65歳を節目に事業承継の検討に着手された場合、どのような譲渡先候補があるのでしょうか。ご親族に後継者がいない場合の選択肢は主に2つです。

同業他社(調剤薬局)
従業員(管理薬剤師)

「同業他社(調剤薬局)」では、大手調剤薬局グループが候補になるでしょう。各社ごとに違いはありますが、年間20-30件の調剤薬局を譲受しています。大手調剤薬局グループは相手にしてくれないのではと心配されるかもしれませんが、そんなことはありません。例えば、アインホールディングスは年商1.5億円以上の調剤薬局をM&Aのターゲットとしています。

ただし、2018年の報酬改定の影響には留意が必要です。処方箋の集中率が高い調剤薬局の場合には、大手調剤薬局グループ傘下では調剤基本料の大幅減額を招いてしまう恐れがあります。そのため、近隣の中小薬局なども候補として考える必要が出てきます。

また、「従業員(管理薬剤師)」もぜひ選択肢としてご検討頂きたいと思います。自社の調剤薬局の置かれた状況を一番よく理解してくれている身近な存在ですし、率直に話してみると課題や将来像を真剣に考えてくれていることに驚かされることも多いようです。承継資金は金融機関との相談も必要となりますが、以前よりも選択肢は増えています。ご不明な場合には、ぜひご相談いただければと思います。

(3)これからの安心に向けて

調剤薬局オーナーの皆様にとって、事業承継・M&Aは恐らく初めての経験になると思います。腰が重いと感じることもあるかもしれませんが、事業承継・M&Aの成功は大きな安心にもつながります。

調剤薬局の存続(医師・患者・従業員すべての安心につながる。)
創業者利益の獲得(引退後の生活の安心につながる。)
責任論からの解放(株主/経営/保証責任に伴う不安がなくなる。)

皆様の調剤薬局の関係者様(医師、患者様、後継者様、従業員様、等)が今後も安心して地域医療における重要な役割を担っていくための大切なご検討となります。長文乱文にてご説明させて頂きましたが、ご不明のことやお困りのこともまだあろうかと思います。

日本橋事業承継パートナーズ(NJP)では【秘密厳守/初回相談無料】で随時、ご相談をお受けしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 
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調剤薬局|事業承継・M&Aを成功に導くポイント
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外部リンク|後継者になる|管理薬剤師から「プロ後継者」へ
https://kokei-works.com/2020/07/26/547/