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事業承継・M&Aコラム

2018.11.29 事業承継・M&Aの知識

中小企業のための「企業価値評価」入門|実務での考え方、算定方法、留意点まで解説!

更新:2020年9月1日
中小企業のための「企業価値評価」入門|実務での考え方、算定方法、留意点まで解説!

 

■実務での考え方


自分の会社にどのくらいの価値がつくのかは、事業承継を考えるオーナーの方にとって最も気になることの一つだと思います。

企業価値についてはさまざまな算定方法がありますが、
中小企業のM&Aでは、以下の算式で企業価値が計算されることがよくあります。

「企業価値=時価純資産+営業権(のれん)」

営業権(のれん)の額は、会社の業種や景気によって変動しますが、おおむね営業利益の1~3年分程度となることが多いかと思います。もちろんあくまで目安でして、会社の業績が安定している場合、あるいは大幅な成長を見込むことができる場合には、3年分を超えるかもしれませんし、逆にベンチャーなどで収益が安定しない場合には半年分を下回ることもあります。

この計算方法は非常にシンプルで、かつ納得感の得られやすい手法として、実務上広く受け入れられているというのが実感です。

 

 

■計算上のポイント


「企業価値=時価純資産+営業権(のれん)」とする計算はシンプルですが、いくつか留意すべき事項があります。

・時価純資産について
まずは、「簿価」純資産ではなく、「時価」純資産という点にご留意ください。
例えば会社の資産に不動産がある場合、「簿価」=「時価」となることは稀でしょうから、時価に置き換える必要があります。
また、見落としがちなのが人件費に関連する項目です。
退職金制度があれば、期末時点で会社が負うべき金額を計算し、負債として考えましょう。また、給与の締め日が月末でないのであれば、締め日~月末に係る未払給与も負債として考えます。

・営業権(のれん)の計算のベースについて
営業権(のれん)の額は、営業利益の1~3年分程度と述べましたが、この営業利益は適正化された後の水準をベースとして考えます。
例えば、役員報酬を低く抑えている場合は、その分会社の利益が多くなっていますので、役員報酬を通常あるべき水準に引き上げた場合にどうなるかを考える必要があります。
他にも、交際費等の私的経費が多くなっている場合や、臨時の売上があった場合等についても、通常の営業を行っていればどのくらいの利益水準になるかという観点からの修正が必要となります。

ちなみに、企業価値評価としてよく言われるのが、
・インカムアプローチ (DCF法、等)
・マーケットアプローチ (類似業種比較法、等)
・ネットアセットアプローチ(時価純資産法、等)
の3つのアプローチにより企業価値の計算を行い、結果を比較衡量して決定する方法です。理論上一定の裏付けがあるこの手法は、複雑かつ高度な専門知識が必要で、この計算を専門にする会社が存在するくらいです。

しかし、中小企業のM&Aの場合、この方法で企業価値を算定しているケースはそう多くは無いのではないでしょうか。要は、売り手と買い手が納得する価格がその企業の価値ですので、わかりやすく納得感のある手法が求められる中、上記の手法は現実感がなく、また、少し複雑すぎるのかもしれません。

M&Aの価格交渉は、動く金額が大きいことから、交渉がシビアになるケースが多々あります。上記の計算方法も参考にしながら、ある程度の目線感をお持ちいただくのがよろしいでしょう。

弊社では、様々な企業価値評価について経験豊富なメンバーが、皆様のお悩みに寄り添いながらご相談に応じます。
企業価値評価にお悩みの方は是非弊社にご相談ください。